灯の下に灯の色の枇杷喪服脱ぐ
山なみの一つ秀でて麦こがし
教壇に立ちゐしころの柘榴の実
青空をひろげむと雪?きゐたり
落葉落葉仏を彫るは何の木ぞ
いつもそこに潮濡れの椅子春の昼
洪水碑ときに花びらながれくる
この句集上梓以前に「友岡子郷全句集」を出している。そこには第八句集以後の4年半ほどの句も収録されている。それを第九集と数えれば、今回の「黙礼」は第10句集になると、自ら書き記している。
阪神大震災を体験した作者は、それ以後災害がテーマになってしまった。この句集もまた、その災害を尾にした句集である。