いつも思うのだが、俳句は風土を詠むのに適している。前衛的な俳句は、その裏側に思想が張り付いているのだが、伝統俳句は季語を謳うと言っても過言ではない形式である。
たとえば一句ずつ何の脈絡もなく作りためた句集と、一つの風土を移り変わっていく季節を詠んだ集積とでは、句集から湧き出してくる空気が違うと思う。一度はどこか一カ所の風土を過ぎる季節を読んでみたいと思う。
そんな折、角川『俳句』4月号では、一年間にわたって「風土吟詠」の連載が始まった。都道府県代表47人が毎回自身の棲んでいる風土を読む。わたしは埼玉県の句を出すことになった。秩父盆地の行事を数えただけでもたくさんある。
春になれば、お遍路姿は秩父の風物詩、通ってみるのもいいかもしれない。