2018年2月 のアーカイブ

水母また骨を探してただよへり  岩淵喜代子

2018年2月20日 火曜日

骨のないことを楽しんでいるかのような水母の漂うさまを「骨を探して」とは言い得て妙で面白い。水母をこのように捉えることが出来る作者はきっと骨のある人にちがいない。骨のない私などは、常々水母のように浮遊したいと思っている。が、この句にふれて、水母の見方が変わるかもしれない。

『穀象』は事物へ対しての岩淵さんの鋭利な視線の切り取り方が実に豊潤。「穀象に或る日母船のやうな影」「炬燵から行方不明となりにけり」「てのひらの雹は芯まで曇りゐる」(句集『穀象』より)

2018年2月号『門』   玲玲抄 筆者・鳥居真理子

ににん集の兼題

2018年2月8日 木曜日

ににん創刊十周年を機に「火と灯」を兼題にして、ににんの旅も火や灯を追いかける旅が始まった。 もともと、火と灯を追う旅は創刊初期から浮上していたのである。当時は、やがてくる創刊五周年の記念号企画にするつもりだった。

火と灯に関わる歳時記になれば、身近に置いて何度も紐解く機会があるだろうと思った。千葉の海の日に行われる行事を何と言ったのだったか。誰がそんな行事を見つけてきたのか、今になると曖昧になってしまった。北海道のイヨマンテにも出かけた。十二月の北海道はどこもかしこも真っ白だった。ことに、その熊祭り行事の会場は山間の広場で、雪の起伏があるばかりだった。

海の日や火を持つ海女の勢揃ひ    岩淵喜代子
星を打つ矢を何本も熊祭

その現場に立てば、確かに作品が得られるものであることを実感した。この二句は角川俳句大歳時記に採用されている。

その後も、埼玉の北川﨑の虫追い、山焼きや野焼き、大磯のどんど焼き、牡丹焚火、などなど数えきれない吟行をしてきた。そのうちに、不思議な火や灯にも触手を延ばしはじめた。例えば不知火、夜光虫、蛍烏賊、螢、蜃気楼、ブロッケンなど、きりもなく追いかけたいものが出てきた。その「火と灯」の作品は、別ブログで全員の作品を保存してある。

そんなわけで、いまだに歳時記は出来上がらない。結局創刊五周年のときには会員全員が「同人誌」というテーマで、文章を寄せて貰った。十周年のときには、小説をテーマにした作品のアンソロジーとなった。

十五周年は、自分の代表句と呼応する詩を探し出してきて、「詩と俳句と」というテーマで作品を揃えた。数年すれば二十周年になるが、「火と灯」の歳時記は出来上がりそうにもない。三年ちかく続いた「火と灯」の兼題を一度中止すことにした。

あまり長く続くのも、だれてしまうものである。兼題も、もとの言葉に戻すことにしたが、せめて二文字の漢字にすることで、後戻りの形にはしない、というのが周囲の会員の意地があった。

明日は節分

2018年2月2日 金曜日

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一週間前の雪が消えないうちにまた雪予報。埼玉文学館に応募俳句の選考に行く日なのだが、もしかしたら中止のお報せが来るかな、と心待ちにしたが、出かける時間になっても、電話はかかってこなかった。覚悟を決めて雨靴を履いて桶川まで出かけた。丁度雪が降っている最中であった。

それでも、埼玉文学館に着くころには雪が止んで、俳句選考部門の三階の部屋に行くためのエレベーターの中に日差しが入ってきた。明日は節分である。

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