「武藤紀子句集『冬干潟』 2017年 角川書店」より
森羅万象の中の揺れに身を任せているような、緩やかな詠みぶりが心地いい。ほかに(虫聴くや手足大きな西行が)(綿虫をしづかな鳥と思ひけり)(木枯に匂ひありとせば松の)(ゆうぐれに目を瞠けば花あふち)など。
「武藤紀子句集『冬干潟』 2017年 角川書店」より
森羅万象の中の揺れに身を任せているような、緩やかな詠みぶりが心地いい。ほかに(虫聴くや手足大きな西行が)(綿虫をしづかな鳥と思ひけり)(木枯に匂ひありとせば松の)(ゆうぐれに目を瞠けば花あふち)など。
(櫛部天思句集『天心』 2016年 角川書店)
虚子に(初蝶来何色と問ふ黄と答う)というのがある。虚子は黄色で初春を印象付けているが、櫛部氏は囁くという措辞にによって、蛍の本位へ近づかせようとしている。
蛍の夜の景が髣髴としてくるのが、感じられた。
「清水怜句集『星狩』 2017年刊 本阿弥書店」より
一句はまさに虚実皮膜の詠みぶりである。なかなか昼の星を詠んだ俳人はいないのではないだろうか。私の知る限りでは、(爛々と昼の星見え菌生え)の 高浜虚子しか知らない。
「ににん」の発送は、本当はもっと早く終わるはずだったが、春休みと重なっていたために、発送に手を付けることもできなった。それと吟行企画も一つあった。
足の親指骨折のおかげで、吟行のすべてをキャンセルしてきたが、最後の28日のみは私の当番だったので、実行することにしたのだ。桜がちょうど咲きだすのではないかという期待もあった。
改めて、治りかけた足に無理のかからない靴をさがしてみると、思った以上に履きよい靴も見つかって、みんなに遅れをとることもなく歩けて、快適な履き心地だった。桜は一分咲きという感じだった。
そんなこともあって、本日やっとすべてのににん発送を完了した。とにかく3月中に66号の発送は済ませることが出来た。
昨夜は、灯の下で土筆のハカマを取り除き、それを湯掻いて鮨酢で漬け込んでみた。
意外な鮮やかさを見せて、朝食の卓上を彩っていた。
雑誌もとどくかもしれないので、不足の封筒を買ってきて、また灯の下でラベル貼りをした。昨日の土筆のハカマ取りも今日の封筒の宛名貼りも、なんとなくオママゴトめいている。
ににんの封筒を透明な袋にしてからは、発送の手間が半減した。それよりなにより封筒の価格の安価なのが有難い。
雑誌を発行するにあたって、おのずと必要な最低費用というものがある。ににんも30人くらいになった時にようやく同人費ですべてをまかなうことが出来るようになった。現在は雑誌社への広告代金なども、その会費の中で賄われている。
郵便局へゆく道すがら土筆を見つけた。一本みつけると次々と見つかるものだ。 やっぱり春が来た。
足の親指を骨折したことをブログで公開してしまったので、あちらこちらへご心配をおかけしてしまったが、3回目のレントゲン検査で、ズレる心配もなくなったので、あとは骨の修復を待つだけになった。
さすが、吟行の予定はすべてキャンセルしたが、それ以外の予定はいつも通りのままにこなした。親指を庇って歩くのは、思わぬ疲れ方をするものだ。何度マッサージに通ったことか。
明日あたりは「ににん」66号が印刷から上がってくるらしい。今回から今までのクロネコをやめて佐川宅急便になるというお知らせも届いている。大和運輸が一箱千円ほどの値上げをするらしい。
「遠矢」4月号
現代俳句月評 筆者・景山 薫
「俳句」12月号「子規忌」より。 夜窓のカーテンを閉めるときの景ではあるまいか。凡人なら乾かしている唐辛子の乾き具合にしか目がゆかず、それを確かめただけで窓を閉めたであろう。しかし作者は違った。目線を上げ、くっきりとした三日月を見つけた。
白い三日月と真っ赤な唐辛子。この二つをドッキングさせるため、三日月を鉤に見立てた作者の炯眼。童話の一シーンになるようなメルヘンチツクな一句。
やっと本日無事に66号の入稿が済んだ。
その忙しさのためでもないのだが、一週間前の家の中で転倒して足の親指を骨折してしまった。別に急いだいたわけでもない。通り過ぎながら戸の開いているのに気がついて部屋に入ろうとしたら、ものすごい勢いで部屋の中に倒れこんでしまったのだ。
履いていたスリッパが脱げないで、敷居の段差を滑ったような気がする。そこで勢いがついたようだ。倒れこんだときも、「何なの、この衝撃は」、と思うほどだった。
病院で、ドクターの言うには結構複雑だよという。それで、ギブスで松葉杖をつくような成り行きになりそうだった。それを、頑強に断って隣の指を支えにしてテープで固定してもらうことになった。「来週必ずいらっしゃいよ」とドクター言った。さらに「ズレていたら手術だよ」という声が追いかけてきた。
さすが吟行は断ったが、それ以外の仕事は足を庇いながら一週間を過ごした。ズレていないように、と願いながら病院へ行った。またレントゲンを撮られた。その結果、少し亀裂の一部が薄くなっていて修復され始めていたらしい。なんといっても、ズレなかったのは良かった。
入稿も済んでいたので、晴れ晴れとした気分で病院を出た。66号と言えば季刊の「ににん」にとっては16年半が経ったことになる。20周年もあっという間に来そうである。
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