2017年3月31日 のアーカイブ

追憶といふ麦秋の匂ひかな   武藤紀子

2017年3月31日 金曜日

「武藤紀子句集『冬干潟』 2017年  角川書店」より

森羅万象の中の揺れに身を任せているような、緩やかな詠みぶりが心地いい。ほかに(虫聴くや手足大きな西行が)(綿虫をしづかな鳥と思ひけり)(木枯に匂ひありとせば松の)(ゆうぐれに目を瞠けば花あふち)など。

蛍かと囁く蛍ねと応ふ    櫛部天思

2017年3月31日 金曜日

(櫛部天思句集『天心』 2016年  角川書店)
虚子に(初蝶来何色と問ふ黄と答う)というのがある。虚子は黄色で初春を印象付けているが、櫛部氏は囁くという措辞にによって、蛍の本位へ近づかせようとしている。

蛍の夜の景が髣髴としてくるのが、感じられた。

亀鳴いて真昼の星を浴びにけり   清水怜

2017年3月31日 金曜日

「清水怜句集『星狩』 2017年刊 本阿弥書店」より
一句はまさに虚実皮膜の詠みぶりである。なかなか昼の星を詠んだ俳人はいないのではないだろうか。私の知る限りでは、(爛々と昼の星見え菌生え)の 高浜虚子しか知らない。

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