2018年4月 のアーカイブ

水母また骨を探してただよへり    岩淵喜代子

2018年4月19日 木曜日

『遊牧」2018年4月号

ーー好句を探るーー筆者・清水伶

句集『穀象』より。掲句、 一読して、3 ・11の津波による死者の遺骨を探 しているという、未だに拭えきれない大きな哀しみを思 ってしまう。 「骨」とは人間のいのちと死がだきあって いる存在であるから、「骨」を探すという行為は、正に 「いのちを探す」という行為そのものなのである。

あまりにも辛い想いを書いてしまったが、素直な一句 一章で読めば、骨を持てないはずの水母が自分の「骨」 を探してはまた波間を漂っている、という少々メルヘン チックな見立てが独自である。

水母は肉体を抜け出てさまよう魂のように、純白で透 明であり、けがれなく清らかなことは、原始的、宇宙的 な雰囲気もある。 この素朴で律義な生命体の実感が、人 びとに生き死にの神秘を感じさせ、平明な書き方であり ながらも一句全体につめたく皓い光を放っている。 水母は以前よりも一層白く透明になって、深い海の間 を、永遠に自分の骨を探して彷徨っているのである。

忘れよと水母の海に手を濡らす   喜代子

ににん70号

2018年4月1日 日曜日

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「ににん」70号も発送が済んで、ぼつぼつと届いたというお知らせも頂いた。ほっとしたところで、黒目川沿いを散歩をした。上げ潮時期なのか、川面一面の桜の花びら。そうしたら、もう四月になっていた。

なんという時の早さよ。

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