下北沢は不思議な街である。道が続いているような、途切れているような見通せない街で、小さな飲食店がぎっしり続いている。それでも懐かしい匂いがする。このまえ来たのはいつだっただろうか。
仲間のお誘いがなければ縁がなかったかもしれない。人形劇なんて、とおもいながらだったが、そんな気持ちを払拭してくれた。メイドの身のこなし、靴のコツコツとする音まで忘れられないいきいきとしたものだった。
カフカの変身は、思ったほど物語を覚えていなかったが、見ているうちに思い出してきた。改めて小説『変身』を凄いと思った。人形芝居と言っても操り人形である。黒子が一人で糸を操作するのだが、私の席は、丁度人形の世界と同じ位置だったので、見上げなければ黒子は目に入らなかった。