神奈川の藤ヶ丘に着くころにはやはりもう春コートだったなと思った。藤ヶ丘の駅前の有料老人ホームに暮らしているににん同人のYさんを編集者と訪問した。そこで、絵と俳句と文章とを、センスよく一冊にしてくださいとお願いした。
この老人ホームはもう何回も訪れている。老人ホームとは言っても健常者しか住んでいないので、ちょっとしたプチホテルという感じの静かな施設である。昼時にお邪魔したのは、本造りの相談になるべく時間を掛けたかったからである。食事と言っても、施設の中の人が利用するもので三種類くらいのメニューしかない。すごく安価なのに、セルフではなく、お茶もコーヒーもすべて運んできてくれる。
Yさんとは同時に「鹿火屋」に入会して、いつも同じグループで行動していた。40年くらいのお付き合いになるだろうか。原先生との旅行も一緒だった。川崎展宏先生の「貂」への入会も一緒だった。そうして、15年前に創刊した「ににん」にもお付き合いして貰って今日に至っている。
一度はいまさら本など作っても、と思ったこともあったようだ。私もそれもそうだな、と思ってあえて勧めることもしなかった。ところが5月に鳩居堂の画廊で墨彩画の展覧会を開催する運びになった途端に本も作りたくなったようだ。
何かの行動を起こすと、細胞が活気づいて行動的な志向になるのかもしれない。手にしたときに「わーきれい」という感じの本にしたい。帰りに渋谷で降りたら、東急プラザが今日で閉店とかで賑っていた。営業年月が49年間だったとか。