2013年2月 のアーカイブ

人形の町 岩槻

2013年2月27日 水曜日

雪が降るかもしれないという予報だったが、朝起きたら道が微かに濡れているだけだった。毎日吹いていた風も気が済んだようで暖かい。午後からちょっと散歩に、とは言っても電車で一時間ほどの岩槻まで足を伸ばした。清水哲男さんが発信している電子書籍ZouXの3月3日号の為である。

3月3日号なら雛祭を無視するわけにはいかない。幾句かは出来ているのだが、心細い。それで人形の町「岩槻」まで出掛けた。散歩にはいい気候になった。駅に降り立つとどことなく華やかなのは、人形店が赤い幟を立てているせいだが、この町はそれに迎合して携帯ショップもドーナツ屋さんも雛祭のような色だった。

到るところに蔵があって人形の町にふさわしい古い町であるのが分かる。もともと、ここには岩槻城があったし、日光御成道が町を貫いている。130227_1623~01途中に高札場も遺してあった。

ここまで来たらまつもとかづやさんのお宅にも寄ってご挨拶だけでもしていこうかな、とも思いながら、歩き過ぎて疲れてきた。人形の町とはいっても人形店は町中に散らばっているのである。

途中で「岩槻郷土記念館」があった。四時半閉館と書いてあったので躊躇ったが扉を押してみることした。閉館までには20分程の時間があったからだ。係の人が「人形も見るでしょ!」と二階へ案内してくれて、消してしまった照明を点けてくた。あきらかに古い人形だと思えるのは、その衣裳が褪せてぼんやりした模様になっているからだ。それとは反対に顔が妙にリアルに見えだしてなんだか怖くなって早々に退散した。

明日は雪予報

2013年2月26日 火曜日

このところ毎日風が強い。23日は前橋煥乎堂句会。ここの空っ風はことに凄い。そうして24日の日曜日は、会議のために埼玉文学館へ。強風のためにのろのろ運転だったが、動いていたからよかった。武蔵野線が止ると池袋を回らなくてはならない。そうして翌日も強風だった。いまどきの風をなんというのか。春嵐・春疾風・春北風など呼び名がいろいろあるのだが、やはり春北風が相応しい呼び方だった。なにしろ、寒かった。あの風に吹かれていると、「野分だちて俄に膚寒き夕暮のほど」から、極めて暖かな空気を感じるのだ。

その風がどこへ行ってしまったのか。久し振りの穏やかな日和。だからというわけではないが、岩波へ「8月の鯨」を見に行った。西洋のおばあさんはどうしてあんに優雅できれいなんだろう。そうして色気がある。帰ってきたら、夕方のテレビが明日は雪が降ると言っている。まーいいでしょう。外へ出られなければ50号の「ににん」編集もはかどるから。

『俳句』三月号

2013年2月25日 月曜日

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「俳句」の3月号の大きな見出しは「春の名句100選」。私の担当は「春の天」の10句とその解説。
この号の巻頭の文章が宇多喜代子氏の川口重美のこと。
宇多氏の歯切れのいい筆使いによってさらに引きこまれた。

  渡り鳥はるかなるとき光りけり

初めて聞く名前だが、この句は知っている。若くして自死だったとのこと。読んでみたい句集だ。

3月号『俳句界』

2013年2月25日 月曜日

haikukai                                                           
 チャイムが鳴って出て見たら大冊でポストに入らないからと、
郵便局の配達係の人が立っていた。
大冊は「俳句界3月号」とその附録。本誌より付録のほうが厚い。
それが写真の「平成名句大鑑」で、
500人の俳人が一人一ページを占めている。
たしか、平成の自選代表句という依頼だったと思う。
暫くベットの傍らの本になりそうだ。
今月号は特集が二つある。一つは30代までの若手の特集。
それは付録ではなく本誌のほうで、グラビアアで写真と俳句で、「結社期待の新人52人」となっている。
ににんからはとびっきり若い服部さやかさんが参加している。

滝本結女句集『松山ミクロン』  2013年2月 文学の森文庫

2013年2月16日 土曜日

はるの炉に少女漫画を焼べてをり
春の夜の沈みし皿を引き上げる
雛段といふ断崖の祭かな
花時の永楽ビルはほの暗き
短夜のアンモナイトの抱き心地
黒板に沼の広がる晩夏かな
流星や男の背に浅き川

シュールリアリズムの手法がこの作者の本領なのだと思う。それを極力抑えながら視覚で作り上げたのがこの句集。「雛段」の句の緋毛氈の赤さのなんと鮮やかなことか。

氷室椿庭園

2013年2月14日 木曜日

130214_1659~03 (2)昨日、清水哲男さんから「nZouXの3月3日号に、8句お寄せ願えませんか。」というメールを頂いたので、今日の氷室椿庭園吟行はいつもよりずっと意気込みながら家を出た。椿で詠もうと思ったからだ。出掛ける時に庭を見たら我家の椿は満開になっていた。それを見たとたんに「今日も椿の咲いてをり」というフレーズが口に上った。なんだか気に入ったフレーズで、茅ヶ崎までいく道中で繰り返していた。

ところが現場に行ってみると椿は殆ど開花していなかったのである。赤い山茶花の外には花らしいものは殆どなく、一本ごとに名付けられている椿の名前を読むしかなかった。開花にはまだ一カ月くらいかかりそうだ。それでも、句友たちのほとんどが咲いている椿を詠んでいた。私は今朝から気になっている「今日も椿が咲いてをり」に拘っていた。このフレーズも以前「螢袋に灯をともす」を完成させるために使ったエネルギーが必要なのだろう。

昨日頂いたメールは「寒いですね」で始まっていたが、今日は暖かい日であった。句会のあと再び歩いた茅ヶ崎海岸は夕日が消える寸前だった。

刺激的な三冊

2013年2月13日 水曜日

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『アニメ!  リアル VS. ドリーム (岩波ジュニア新書)』を、自ら書店の棚から手にとることはなかっただろう。一書は仲間の息子さんが関わっている本だということで頂いたのである。これまで、アニメと漫画の境も意識したことが無かった。それはスポーツ音痴の私が、サッカーとラグビーとバスケットが同じに見えてしまうようなものなのである。しかし、この本によって俄然アニメ通になったような気分にさせられた。アニメの変遷とお茶の間の変遷を重ねて語られていることろはことに面白かった。多分、日常の延長線上だからだろう。
台詞が先に出来上って、それからアニメ制作をするなんていうことがあるらしい。すべては、「マッドハウス」という会社の社長とそのスタッフ武井風太氏との対談形式になっている。
ところで、カバーにその「マッドハウスツアー」の企画があり、その応募券が帯の端っこにあったが、貰った本でも資格ありなのだろうか。

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金原まさ子第四句集『カルナヴァル』
帯に「102歳の悪徳と愉悦」とある。
想像の振幅、という言葉を使うと作者はきっと否定するだろう。
これがリアルタイムのわが風景なのだと。どこを切り取っても刺激的であるが、あえて作者の風景を抽出してみた。

雑魚寝して牡丹の芽を想いおる
ひな寿司の具に初蝶がまぜてある
我肉を食べ放題や神の留守
前へ向いて後ろへあるく海鼠かな
                  蟇またぐときごうごうと耳鳴りが
                  鳩を炒めて苺炒めて女正月
                  弟を秋の螢と錯覚す

黒田夏子著『abさんご』  第148回下半期芥川賞受賞作

作者のコメントが「生きているうちに見つけてくださいましてありがとうございました」とあるように、1937年生れの作家である。
しかもその文章が横書き。だからと言ってカタカナが多いわけでもない。
きわめて古典的である文体の匂いは『死者の書』を思い出し、
物語としては、森敦の『われ逝くもののごとく』を思い出させた。

悲しい捏造

2013年2月11日 月曜日

吟遊俳句賞2012受賞者なし:Ban’ya
2012年10月17日 – 吟遊俳句賞2012は受賞者なし。 吟遊俳句賞 http://www.geocities.jp/ginyu_haiku/ ginyu.haiku.prize.htm 昨年の日本からの受賞者、長嶺千晶に対して、岩淵喜代子を はじめとする俳誌「ににん」の連中のねたみといじめは、すさまじかった。
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上記のようなブログを見てしまった。
捏造と言い切れるのは吟遊賞とやらの受賞を私が知ったのは2011年6月上旬。そうして、9月の終りの深夜に夏石氏から「長嶺さんをいじめているの」という電話がかかり、そのいじめは吟遊賞を長嶺氏にあたえたことによると決めつけている経緯にある。6月から9月までの間、否その2011年は彼女は句会も休みがちだった。なぜなら、春にお父さんが亡なり、お母さんを身近に住まわせるために奔走してようやく落ち着いたと思ったら、そのお母さんも亡くなるというご不幸が続いたからだ。まれに句会に顔を出しても、忙しそうだった。

そのため、9月の深夜の不愉快な、しかも理不尽な夏石氏の電話の件を長嶺氏に伝えることも憚られた。そのあたりの経緯は「去就」という記事にしてある。今回の記事は名誉棄損に値する書き込みだろう。悲しいかな私は、こうしたことを法律的に対処する知恵も力も持っていない。だが、どうしても、ににんの仲間のために、とりあえず表明しておかなければならない。***俳誌「ににん」の連中のねたみといじめは、すさまじかった。***と、事実無根のことが、まるで見たきた様に書かれているのだが、「ににん」の仲間は「ギンユウショウ」などという賞への認識もないのである。両氏にたくさんの憤りはあるのだが、年齢的にも今の私はそんなことにヘネルギーを使う隙がない。

夏石氏のぶろぐはまだ続いていて、わたしが角川から句集を出したことにも及んでいる。自費で出しているのだと暴露のような書き方だが、自費でなく句集を出している俳人がいるのだろうか。それより何より句集を何処で出そうと、自費で出そうと干渉される謂れはない。

『滝』 2013年2月号  主宰・菅原鬨也

2013年2月10日 日曜日

『総合誌年鑑』の一句      鑑賞・加藤信子

穀象にある日母船のやうな影    岩淵喜代子

映画「未知との遭遇」でUFOの母船が頭上に姿を現し、人々が恐れ慄く場面で、私は子供の頃の体験をおもいだしていた。「ホリ」と呼ばれる縠象虫を取り除くには、真っ白な紙の上に広げて干すのが一番手っ取りばやいのだ。黒い小虫が、私の頭の影を恐れるように四方八方に逃げ出す。黒い地面に身を隠そうとする本能に過ぎないのだろうが、映画の中の人類が縠象虫と重なる。こんな体験を共有している人がいると思うのは私の一人よがりだろうか。

樹氷

2013年2月8日 金曜日

zyuhyoujpg  雪の蔵王と聞いただけで、見たいと言うより、怖いような気がしていた。まして行った日は日本中が雪予報の日だった。

まーしかし蔵王の樹氷を何度も見に行っている娘夫婦が、張りきって案内してくれるので、こわごわ重い腰を上げて出掛けた。一番いいスポットとして連れていってもらったのが、山形から入る蔵王。ケーブルに7分くらい乗り、ゴンドラに5分くらい乗るともう目の前が樹氷林なのである。ゴンドラの終点の建物の続きにレストランがあって、そこから眺めていてもいいようだ。極寒の空気の中の雪は粉そのもので、まさに砂地を歩くかのように足がめり込む。

ガスで見えにくい日も多いらしいが、今日は幸運にもよく見えた。気温マイナス2度は、いつもより暖かい日らしい。樹氷の形は鳥族を想像した。樹木の先端の尖った三角が鳥の頭のようであり、身体は白衣を纏った神々のようだ。あるいは、八甲田山を行軍した兵士の群のようでもあった。夜は蔵王の麓の宿でゼブンブリッジ三昧で、我々夫婦は娘夫婦のいいカモとなる。

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