滝本結女句集『松山ミクロン』  2013年2月 文学の森文庫

はるの炉に少女漫画を焼べてをり
春の夜の沈みし皿を引き上げる
雛段といふ断崖の祭かな
花時の永楽ビルはほの暗き
短夜のアンモナイトの抱き心地
黒板に沼の広がる晩夏かな
流星や男の背に浅き川

シュールリアリズムの手法がこの作者の本領なのだと思う。それを極力抑えながら視覚で作り上げたのがこの句集。「雛段」の句の緋毛氈の赤さのなんと鮮やかなことか。

コメント / トラックバック2件

  1. 滝本結女 より:

    拙句集、取り上げていただきありがとうございます。句集を出して、いかに自分が勉強をしていなかったかが、よくわかるようになりました。なんと大胆なことをしてしまったのか、と思う反面、自分の句を突き放してみるいい機会になりました。これからも俳句のある暮らしを楽しんでいけたらと思っています。励みになりました、

  2. お目に止って恐縮です。楽しい句集でした。

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