2016年8月 のアーカイブ

「ハンナ・アーレント」

2016年8月23日 火曜日

映画は見始めるとつぎつぎと通うのだが、遠のいてしまうと忘れるくらい日にちが過ぎてしまうものである。振り返ってみたら今年は数本しかまだみていない。

息抜きに映画を、と思ったのだが夏休みのせいか観たいと思う映画が見つからなかったので、新文芸坐の「ハンナ・アーレント」を観に行くことにした。この映画は封切りで観ているのだが、なんか分かり難かった。

入館したら二本立ての一本「サウルの息子」が放映されていた。これは初めて見る映画であったが、見始めから暗く重苦しい映画で、ホロコーストの中で、選ばれて収容所の中で働くユダヤ人の話。観終わった時にはくたくたに疲れてしまった。本命の「ハンナ・アーレント」を見るまでの時間をロビーへ出ると、青年二人が最後までかなり重い場面だったことを話し合っていた。

しかし、これをみておいたお蔭で、次に放映された「ハンナ・アーレント」の中身が鮮明に見えてきた。二本立ての効用である。ドイツ・ナチについては、まだまだ見えない部分がいっぱいあるような気がする。

綾取りの橋を手渡す鳥の恋   岩淵喜代子

2016年8月13日 土曜日

『斧』主宰・はりまだいすけ

現代俳句評  筆者・大久保和恵

『俳壇』鳥の恋 より
綾取りも毬突きも見かけなくなった。綾取りよりもスマホのゲーム、毬突きよリサッカーだろうか。男女の差がなくなっていると言える。

それが悪いとは一概には言えないのだが、遊びに情緒がなくなっているのは確かである。 さてこの句、「手渡す」とは何と優しい表現であろうか。

しかし、綾取りとはまさに指で作った糸の橋や川を「手渡す」ことである。この措辞によって嫋やかな空間―女の子達が醸し出す香やとりどりの色彩―が眼前に現れ、囀りの空の下で流れて行く幸せな時を共有している童たちの静かな息遣いが聞こえてくる。

墓参

2016年8月11日 木曜日

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「山の日」という休日だった。兄弟がそろったので、墓参りに行った。墓参りというよりも、墓掃除がみんなの頭を占めているから、枝切鋏、手ぬぐい、軍手などなど何処かの邸宅の庭掃除のような道具が車のトランクにいっぱいになった。

しかしわが両親の眠っている墓は畳数にしたら二枚ほどの小さな墓地なのである。あいかわらず小平霊園を貫く欅並木が美しかった。

お盆には数日早かったせいか、我が両親の墓とともに周りのお墓も草茫茫。まずは、木にからんでいる藪からしの蔦を引っ張ってみると、根元は隣のお墓である。どんな方がお墓参りにくるのか、一度も出会ったことがない。
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さて始めようかと軍手をはめると、義妹が保冷材の入ったマフラーを配ってくれた。

なんだかんだと言い合いながら、草とりやら樹木の剪定を終えると、ビニール袋二枚では足りないほどのゴミとなった。

高枝の暗きところが小鳥の巣   岩淵喜代子

2016年8月7日 日曜日

『天為』 8月号  主宰・有馬朗人

現代俳句鑑賞   筆者・丸谷三砂

(「俳壇」ハ月号「鳥の恋」より)
繁殖のための鳥の巣は、地中、樹上、岩棚、木の洞など作る場所にもいくつかのタイプがある。その素材も泥や小石、羽毛や獣毛、枯葉や樹皮など鳥によってさまざまである。

掲句の小鳥の巣は樹上の高いところにある。おそらく木の股などに枯葉や小枝などで作られたものであろう。葉の茂っている季節にはなかなか見定めることが困難なのが鳥の巣である。敵から身を守るためには目立たないように巣作りをするのが鳥の習性でもあろう。

葉陰に見え隠れしてどこか輪郭の定まらない小鳥の巣を「暗きところ」よ表現して成功している。

貼り交ぜる切手とりどり巣立鳥    岩淵喜代子

2016年8月6日 土曜日

俳誌「月の匣」 主宰・水内慶太

詩海展望    筆者・田中喜翔

「俳壇」六月号) 俳人と郵便の係わりは深い。毎日俳句や文章を書いては出し、来たものを受け取り郵便に追い立てられながら仕事をしているのだが郵便物は規格や重量厚さによって料金が決つているので例えば一四〇円の場合は一〇〇円と三十円十円の切手を貼り交ぜることになる。

掲句の場合、意味は異なるが「とり」の語が三回繰り返されとてもリズミカルだ。巣立鳥のように手元を離れてゆくのはきっと佳信であろう。ちなみに鳥の図柄の切手は十円と一部の八十二円。

『紫』八月号   主宰・山崎十生

2016年8月6日 土曜日

俳誌紹介   筆者・久下晴美

◎俳誌「ににん」春号(季刊 通巻六二号)
○代表=岩淵喜代子 編集人=川村研治
○発行所=朝霞市溝沼五‐一下上四
*平成十二年秋、岩淵喜代子が朝霞市で創刊。師系は原裕。「同人誌の気概一ということを追及している。主宰は置かず、季刊誌として四月・七月。十月。一月の年四回発行。投句者全員が同人で、昨年秋に通巻六十号、創刊十五周年を迎えた。同人作品は「ににん集」と「さざん集」から成り、各五句ずつ掲載。巻末綴じ込みのエッセイ集「雁の玉章(かりのたまずさとは十七号となり、六名が執筆。

◇ににん集より(兼題…受信)
松過ぎの岬へ運ぶ受信音          岩淵喜代子
大欅ただ今春を受信中          大豆生田伴子
ふたたびの世に寒北斗受信せよ       武丼 伸子

◇さざん集より
風花や発掘されし柱穴           川村 研治
へうきんな冬雲ふはりひよこ色       高橋 寛治
行列の影が影踏む春隣           服部さやか

*巻頭には山内美代子句画集「藤が丘から」・浜田はるみ句集「韻く」の出版祝賀会と書評を十三頁にわたり載せている。岩淵氏は〈石鼎余滴〉として原石鼎の評伝を四頁執筆。

*余談だが「ににん」のウェブサイトも充実している。〈喜代子の折々〉は代表の日常が綴られており素顔が垣間見えて興味深い。

松本城

2016年8月4日 木曜日

160804_0836~01   安曇野で一泊したホテルのロビー。
七夕飾りに願い事をどうぞと言われたが、いったい何を願ったらいいのか分からない。

願いが無いほど幸せというのでもない。何もないと言う無欲なのでもない。言ってみれば、あり過ぎて一つに絞れないのだ。
なんという欲張り。夕べは、お目当ての星空は見えなかった。

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写真は松本城ではない。
翌日の松本城を見学してから、駅までの町中にある古書店。どんな本があるのか、昔から古書店だったのか、覗きたかったが、時間が無くて素通りした。

店構えは小さくて、お城の屋根に押しつぶされないかと思うような間口の小さな古書店。

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