『天為』 8月号 主宰・有馬朗人
現代俳句鑑賞 筆者・丸谷三砂
(「俳壇」ハ月号「鳥の恋」より)
繁殖のための鳥の巣は、地中、樹上、岩棚、木の洞など作る場所にもいくつかのタイプがある。その素材も泥や小石、羽毛や獣毛、枯葉や樹皮など鳥によってさまざまである。
掲句の小鳥の巣は樹上の高いところにある。おそらく木の股などに枯葉や小枝などで作られたものであろう。葉の茂っている季節にはなかなか見定めることが困難なのが鳥の巣である。敵から身を守るためには目立たないように巣作りをするのが鳥の習性でもあろう。
葉陰に見え隠れしてどこか輪郭の定まらない小鳥の巣を「暗きところ」よ表現して成功している。