今年最後の仕事、「ににん」の発送も完了した。あとは郵便屋さんの集荷を待つのみになった。数えれば創刊17年目に入っていた。その節目の昨年秋号から「~共存~というテーマで生き物を詠む企画が始まった。
第一回目として「水母の余韻」とする23句を発表。65号は「じぐざぐ」という蟻の23句が発表される。同じ生き物での連作は難しいのだが、難しいものに挑むのが「ににん」の「ににん」たるところである。
短期間に多少の無理も承知で、口火を切ったわけだが、理解してくれる人も現れた。
「こんなときには無理矢理作るのよ」と言ったら
「いやいや、その痕跡は見せていない」と言ってくださる方もいた。
「岳」12月号~ では展望現代俳句で水母を取り上げてくださった。全文を転載させていただくことにする。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
海月また骨を探してただよへり 岩淵喜代子
筆者・佐藤映二
「ににん」秋号より。「余韻の水母」と題して、23句すべて水母の季語を配した意欲に惹かれる。〈骨を探して〉から、どうしても東日本大震災の大津波に遭難した幾多の人を想起する。5年半経った今でも、行方不明者の捜索が節目ごとに実行されている。無力感に幾度も押しつぶされながら、その片鱗もとの願いに寄り添う気持ちが(また)の措辞によって表されている。同時作「忘れよと水母の海に手を濡らす」も、今は何事もなかったかのような海に手を浸すことで、却って忘れ得ない現実に引きもどされる哀しさを表しているのである。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
この企画を20周年の特集号として一挙掲載することにしている。一月発行の65号には第二弾として「じぐざぐ」川村研治さんの蟻を詠んだ郡作、そして66号では「海鼠の郡作」が発表される予定。