2012年8月20日 のアーカイブ

中村和弘句集『東海』 2012年7月  角川書店

2012年8月20日 月曜日

ぎんぎらの焼却炉据え梅まつり
花影を穴のごとくに跨ぎけり
玉突きのごと水鳥の騒ぎ出す
むらさきに犀はけぶりて大暑なり
竹を伐る頭の中の白帆かな
薄氷も胎蔵界も青きかな
闘牛の足跡ふかく菫咲く

梅という古典的な花も「梅まつり」ともなれば俗の中の俗を呈するから不思議である。その象徴が「ぎんぎらの焼却炉据」なのだろう。
花影の句は石鼎の「花影婆娑と踏むべくあらず岨の月」を思いだした。影を跨ぐときにその蔭が花影であるこを意識したのだろう。中村氏は対象の本意を攻めるのではなく、本意から差し出された世界を詠んでいる。

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