2011年10月17日 のアーカイブ

西原天気句集『けむり』 2011年 西田書店

2011年10月17日 月曜日

ゆふぐれが見知らぬ蟹を連れてくる  
風鈴を指に吊るして次の間へ
冬ざくら空のはじめは大むかし
カステラにまづは四月の木の匂ひ
春の夜のピアノのやうな水たまり
荒川の蟻のでんぐり返りかな
枝豆がころり原稿用紙の目
野遊びの終りはいつもただの道

後書きを読んだら西原さんは偶然訪れた西念寺の佐山哲郎さんに出会ったことが俳句のきっかけらしい。知っている人はその佐山哲郎氏が映画「コクリコ坂」の原作者であることを思い出すだろう。余談だが、最近発刊された佐山氏の句集『娑婆娑婆』の売れ方は凄いらしい。

西原さんにもある俳句の枠を抜けた世界が描かれていて、文体を得た俳句作家と言えるだろう。文体を得たことで捕まえられる独特の世界というものがあるような気がする。そうなりたいと私も憧れtている。

尾崎人魚句集『ゴリラの背中』 2011年 文学の森文庫

2011年10月17日 月曜日

朝寝してふたり魚のやうにゐる
夢に見る木蓮はいつも白です
走り梅雨慣れぬ枕で聴いてをり
赤絵の具一本絞り秋隣
秋空の青きところに梯子挿す

一句目の比喩のかるやかさを、比喩とも思わず読み進む。全体には曖昧さのない輪郭と色彩を持った新鮮さを感じる作品集。作品が文庫本という形にも合っていて、ポケットの中から取り出して読みたい句集。

現代俳句文庫ー67 『小島健句集』 2011年 ふらんす堂

2011年10月17日 月曜日

やぶからし引けば真昼の匂ふかな        「爽」
大桶に鯉の回りて祭笛
花茣蓙の上に置かれて通知表          「木の実」
だんだんに日傘大きく神楽坂
草刈つて故郷大きくなりにけり          「蛍光」
焼芋の熱くて妻に渡しけり
障子よりくれなゐのこゑかかりけり

ときどき10代からあるいは20代前半から俳句を始めている人に出会う。この作家も17歳から始めたようだから、60代半ばの現在すでに大家の域に入るのかもしれない。俳句の形式を自在に駆使出来る作家と感じた。

山本洋子第六句集『夏木』 2011年 ふらんす堂

2011年10月17日 月曜日

じゃがいもが咲いてにはとりよく啼いて
敦賀より北に用ある時雨かな
銀杏散るところで母の待つてをり
室生寺へ行くかと問はれ春の風
海外といふ大いなる春の闇
ライラック咲いて机の塵を拭く
海見ゆるところまで麦踏んでゆく
灯の点いてからも椿の落ちること

関西の地名そのものが季題のように、実によく句のなかで生かされている。地名が匂いだすような懐かしさを抱かせる。

小原啄葉『季題別全句集』 2011年 角川書店

2011年10月17日 月曜日

小原啄葉『季題別全句集』
蛇捕りの義兄なりしが自殺せり
桑括る人に飛島見えてきし

翌年の股間をくらく靴磨
馬も家族大寒の夜の尿長し
鉄屑量る分銅吊す冬日の上

大正10年生れのその半世紀の歴史が見える全句集。たとえば今は見なくなった靴磨きや馬も同じ屋根の下に暮らす風景などが、ここでは一緒に並んでいる。

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