ゆふぐれが見知らぬ蟹を連れてくる
風鈴を指に吊るして次の間へ
冬ざくら空のはじめは大むかし
カステラにまづは四月の木の匂ひ
春の夜のピアノのやうな水たまり
荒川の蟻のでんぐり返りかな
枝豆がころり原稿用紙の目
野遊びの終りはいつもただの道
後書きを読んだら西原さんは偶然訪れた西念寺の佐山哲郎さんに出会ったことが俳句のきっかけらしい。知っている人はその佐山哲郎氏が映画「コクリコ坂」の原作者であることを思い出すだろう。余談だが、最近発刊された佐山氏の句集『娑婆娑婆』の売れ方は凄いらしい。
西原さんにもある俳句の枠を抜けた世界が描かれていて、文体を得た俳句作家と言えるだろう。文体を得たことで捕まえられる独特の世界というものがあるような気がする。そうなりたいと私も憧れtている。