2011年12月17日 のアーカイブ

黒目川

2011年12月17日 土曜日

空気は冷たいが穏やかな日和。郵便局の手前の黒目川に珍しく青鷺がいた。白鷺はよく見るが青鷺は始めてだった。空気も澄むと水も澄むようだ。川の水がきれいだった。その真中あたりを橋の真上から覗くと、川底の砂利一面にゆらゆら揺らめくものがあった。まるで藻が靡いているような感じでただ揺らめいているだけなのだが、何百匹かの鮎ほどの魚である。みんな川上へ向かって殆ど同じ場所に留まっていた。

その魚の群の後ろから青鷺が近寄っていった。橋の上からそれを眺めている男性に何の魚か聞いてみると鯔の子供だと思う、と答えた。青鷺は魚の後ろから首を水面に寄せながら、鯔を狙っていたが、鯔はさり気なく鷺から離れてしまって、何時まで見ていても捕えることが出来そうもない。用事を済ませて帰りにも川を覗いたが、青鷺は同じ所で魚を狙っていた。鯔も同じ所でゆらゆらと揺らめいていた。

印刷所からゲラが届いた。広島の三原プリントさんは丁寧にこちらのミスを補ってくれて助かる。もう5年以上になるが、仕事をしてくれるのは同じ人。それも安心の条件になる。12月も半ばを過ぎた。

齋藤眞爾句集『永遠と一日』 2011年 思潮社

2011年12月17日 土曜日

平成十三年以降の句を纏めたものだという。大方の俳人が定期的に発表する場を持ちながらの作句だが齋藤氏はそうした場を持たないで一集を成している。齋藤氏の作品を一言で表現するなら「眼底の風景」である。それは以前の句集においてもそうだった。

深山より枕にかよふ鷹一つ
亡きひとと寒の土筆を摘みてゐし
世を離れ住みて身ぬちに真葛原
父母の世のやうに鳥引きをへぬ
門火焚く裏口に立つ見知らぬ子
遠き世を鏡としたり白牡丹
はじめから陸は海なり卯月波
形代も白骨もみな露のいろ
牡丹を離るる旅を終へしごと

句集には蛍、蛍袋、雁が多い。ことに蛍袋の句は韻を踏むかのように幾度も見開き頁の左端に現れる。

それ以後は螢袋の中の母
螢袋の中ならわかりあへるかも
父母未生以前原子炉の螢
螢袋いづこに涙あふれたる
狂ふまで螢袋の中にゐた

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