2011年12月16日 のアーカイブ

柴田南海子第三句集『松籟』 2011年 本阿弥書店

2011年12月16日 金曜日

月刊誌「太陽」は今年10周年祝賀会も済んで、活気に満ち溢れている雑誌だ。その編集長を創刊から手がけている柴田南海子氏の第三句集である。

  冬の蝶波に止まりて翔たぬなり
  一部始終火蛾の狂ひを玻瑠一重
  小鳥来る埴輪の舟に影落とし
  片袖を女雛に重ね男雛立つ

作者は俳句を作るときの一番の基本として凝視するということを底流させている。それが、作者の視点を読み手も自ずと辿ることになるのである。

  湖上より僧と褒め合ふ比良の雪
  白木蓮いま笛吹けばこぞり翔つ
  「もういいかい」だあれもいない冬夕焼
凝視に加えた対象の切り取り方、が風景を不思議さに誘う。3句目の冬夕焼けの静寂な世界は惹きこまれる。

  半月へ猛る篝火神渡し
  「おう、おう」と神へ応へや神迎
  大社まで真闇のお練小夜時雨
  風に乗る遅参の神よ神在祭
  昨夜神の集ひし浜に小貝散る

句集には出雲の神迎え神事での作品群がある。こうした句は素材としては興味をそそられながら、なかなか作品にしにくいものである。ここに柴田氏の底力が集約されたような気がした。

『子規に学ぶ・俳句365日』 2011年 週間俳句編  草思社

2011年12月16日 金曜日

表題から察しられるように子規の作品から365句を選んで若手俳人(相子智恵・上田信冶・江渡華子・神野沙希・関悦史・高柳克弘・野口る理・村田篠・山田耕司の各氏)によって鑑賞されているもの。
あまりに有名な虚子や子規は改めて句集を熟読することもなく知っているような気がしているが、季節に合わせて読んでいて、知らない句が多いなと思った。

    仏壇も火燵もあるや四畳半

改めて一日一句を読み返しながら、子規に和して毎日一句を作っていってもいいのではないだろうか。

山崎聡『シマフクロウによろしく』 2011年 紅書房

2011年12月16日 金曜日

山崎氏主宰誌「饗宴」の編集後記に書いてきたメモ風のものが100回を超えたので、一冊にまとめたとのこと。文庫本の大きさで一ページ200文字前後の文章は短いだけ、詩精神の真髄だけを語っている。それについては「詩精神」という表題になった一頁もある。

「俳句は本来機会詩ではない。しかし、機会詩たり得ることはできる。ただしそれには強烈な批評精神と強固な詩精神がなければならない。出来事の現象だけ掬い撮って俳句らしきものに仕立てても、それはただの報告であり、スローガンに過ぎない。テロにせよ拉致にせよ、そういった出来事のすべてを自分の中に取り込んで、そういう中で自分が如何に考え、如何に生きているか、それを書くのでなければ本当の詩とはいえまい。

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