2014年9月7日 のアーカイブ

いつからか即かず離れず夏の蝶    河村正浩

2014年9月7日 日曜日

俳句は対象をいかに読み手差し出すかというところにある。読み手もまた、差し出された対象を自らの体験を加えた感性で、受け止めるのである。そうして俳句が作り手から読み手に手渡されて完成するのである。

蝶などは、句にするには戸惑ってしまうほど日常的な生き物で、どう読んでも同じになりそうな気がする。作者はその蝶をあっさり出会ったままを書き留めたかのように、淡々と読み上げている。ここでの特筆することは(いつからか)である。

(即かず離れず夏の蝶)は夏の蝶の姿として卑近なことだが、上五の(いつからか)の措辞によって人生と置き換えら重厚になった。(2014年7月山彦出版・第5句集『春宵』より)

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