2014年9月6日 のアーカイブ

自動ドアひらくたび散る熱帯魚    岡田由季

2014年9月6日 土曜日

きわめて単純化させた切り取り方の句である。自動ドアーというから大きなビルのフロアー、それは銀行の入口、または美術館とか文学館などの入り口と、さまざまな入口の場面が思い浮かぶ。ドアーが開くたびに、まるで驚いたかのごとく熱帯魚が散らばっていくのである。
描かれているのはそれだけなのだが、否それだけだから、熱帯魚がいきいきとしている。自動ドアーという無機質なものの提示で描き出される風景の中で、熱帯魚がますます鮮やかに際立ってくる。知的な感性を発揮した取り合わせの句である。(2014年7月現代俳句協会新鋭シリーズ・句集『犬の眉』

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