2012年12月23日 のアーカイブ

照井翆第五句集『龍宮』  2012年 角川書店

2012年12月23日 日曜日

「龍宮」という題名は、亡くなったものへの想いなのだろう。今回の東日本大震災の体験者でなければ詠めない作品集。

双子なら同じ死顔桃の花
ポンポンと死を数えゆく古時計
泥?くや瓦礫を己が光とし
春中の冷蔵庫より黒き汁
卒業す泉下にはいと返事して
いま母は龍宮城の白芙蓉
柿ばかり灯れる村となりにけり
穴と言う穴に人間柘榴の実
酔ひて罵る霜のホームの全員を
朝の虹さうやつてまたゐなくなる

長田群青第二句集『押し手沢』 2012年 花神社

2012年12月23日 日曜日

飯田龍太の甲斐、広瀬直人の甲斐を受けつぎながら、その風土を読み継いだ端正な作品集。

雲流れをり栃の芽の濡れてをり
秋冷の寂光院に木の匂ひ
筆圧の一信届く秋の風
古巣抱く大きな欅一周忌
蔵の向うに木犀の花ざかり

山田露結句集『ホームスィートホーム』 2012年 邑書林

2012年12月23日 日曜日

カステラの底の薄紙春うれひ
風呂敷に包んで帰る蜃気楼
つばくろや顔に慣れたる朝の水
あるときは妻の昼寝を見てゐたる
ぼんやりと妻子ある身や夏の月
鈴虫が鳴かなくなつて広き部屋

1967年生れ「銀化」所属。奇抜な発想をしているわけでは無い。誰もがもう少しで気がつきそうなところを掬いとって、読み手を惹きつける。

浦川聡子第三句集『眠れる木』  2012年12月 深夜叢書 

2012年12月23日 日曜日

顕微鏡三十倍の蝶の舌

 蝶の舌とはかなり微小なもで、顕微鏡で30倍くらいにしなければ存在感もないかもしれない。1999年公開のスペイン映画に「蝶の舌」というのがあった。そこで初めてしったのだが、蝶の舌は、使わない時には、ぜんまいのように巻かれて収まっているらしい。

水買ひに出てたくさんの春の星
ふらここの真正面に海の線
八朔やつまんでみたき壺の耳
みづうみを皮手袋の指でさす
泣いて泣いて泣いて菜の花あふれをり
旅果ての鞄ひらけば花吹雪
水中花パソコン端末機の微熱

一集は柔らかな感性で取りこまれた日常の風景。それがセンチメンタルになる寸前で留まるところに共感を呼ぶ。

文挟夫佐恵『白駒』 2012年12月  角川書店

2012年12月23日 日曜日

幽(かくり)世の母の横顔明け易し   
死の床に横瀬の瀧音響かずや
天降り来し天衣をまとふ白牡丹
栗を剥く手力われに残りをり
これ以上紅くなれぬと椿落つ
老い我も祭の渦に巻かれをり
「これはいづれの媼にてあるぞ」初鏡

99歳になっても俳句がつくれるのだろうか、と自分を振り返ってしまう。その年齢の今を力まず、ありのままに切り取っているところが好感となる。

句集『白雁』評 掲載誌

2012年12月23日 日曜日

『爽樹』2013年1月号 代表・小山 徳夫
『白雁』鑑賞         片岡啓子
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『繪硝子』2012年12月号 主宰和田順子
     鈴木靖史「句集を読む」欄にて、句集『白雁』評
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『向日葵』2012年12月号 主宰伊那淳男
   句集『白雁』評
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『吉野』2012年8月号 主宰 野田禎男
  句集『白雁』紹介
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『たかんな』2012年10月号 主宰・藤木倶子
俳書紹介 筆者・江渡文子
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『水眀』2012年10月号 主宰・星野光一
   句集喝采 筆者 内田恵子
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『四葩』2012年11月号 主宰・村松多美
句集紹介  筆者小野寺 洋
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