照井翆第五句集『龍宮』  2012年 角川書店

「龍宮」という題名は、亡くなったものへの想いなのだろう。今回の東日本大震災の体験者でなければ詠めない作品集。

双子なら同じ死顔桃の花
ポンポンと死を数えゆく古時計
泥?くや瓦礫を己が光とし
春中の冷蔵庫より黒き汁
卒業す泉下にはいと返事して
いま母は龍宮城の白芙蓉
柿ばかり灯れる村となりにけり
穴と言う穴に人間柘榴の実
酔ひて罵る霜のホームの全員を
朝の虹さうやつてまたゐなくなる

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