船団に所属する作家。跋文・池田澄子氏。
青葉風屋根の大きな家を買ふ
ゆびきりの指長くなる春の雨
踏ん張って遠くを見てる守宮かな
草の実を弾いて嘘をつく男
黄落や見知らぬ人と歩を合わせ
綿虫に逃げる力や茜雲
リビングの真ん中通る海鼠かな
いろいろな側面を見せる作家だな、と思った。一句目の「大きな屋根の家」という対照を鷲掴むような方法。「ゆびきりの」「黄落や」の抒情性。「リビングの真ん中通る」の諧謔性。いずれも無理なことばの使い方がなく、好感の持てる一集だった。
船団に所属する作家。跋文・池田澄子氏。
青葉風屋根の大きな家を買ふ
ゆびきりの指長くなる春の雨
踏ん張って遠くを見てる守宮かな
草の実を弾いて嘘をつく男
黄落や見知らぬ人と歩を合わせ
綿虫に逃げる力や茜雲
リビングの真ん中通る海鼠かな
いろいろな側面を見せる作家だな、と思った。一句目の「大きな屋根の家」という対照を鷲掴むような方法。「ゆびきりの」「黄落や」の抒情性。「リビングの真ん中通る」の諧謔性。いずれも無理なことばの使い方がなく、好感の持てる一集だった。
知覧とは鹿児島の茶の産地だが、以前は第二次大戦のとき、特攻隊の出撃基地だったという。榎本氏は幼時に戦争で父を失っていることで、若い兵士たちが知覧から次々と出撃したことへの想いもことに強かったことが一集から伺える。
掃立ての羽のほどよき音のして
梅干して針魚を干して魚屋は
河鹿鳴く限りこの世に戦なし
寝押しせし吾らに三月十日来る
麦星に手紙書くべし知覧より
誰よりも戦嫌ひで瓜好きで
広島忌柱に凭れをりたれば
ラムネ壜のくびれ詔勅聴きし日よ
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