2012年7月10日 のアーカイブ

『浮野』2012年7月号  主宰・落合水尾

2012年7月10日 火曜日

新刊句集紹介     筆者  鈴木貴水

☆句集『白雁』  岩淵喜代子
 一丸三六年東京生。一九三六年[鹿火屋]入会、原裕に師事。後に川崎展宏主宰の「詔」の創刊に参加、二〇〇〇年同人誌「ににん」創刊。二〇〇一年句集『螢袋に灯をともす』により東京四季出版「俳旬四季」大賞を受賞。2010年評伝『頂上の石鼎』により埼玉文芸賞受賞。他著書(句集『朝の椅子』『硝子の仲間』『恋の句愛の句、かたはらに』『嘘のやう影のやう』『現代俳句文庫岩淵喜代子句集』、エッセイ集、共著等々)現在「ににん」代表、目本文芸家協会会員、日本ペンクラブ会員、俳人協会会員、現代俳句協会会員、国際俳句協会会員。
 
自選十二句より
 万の鳥帰り一羽の白雁も
 幻をかたちにすれば白魚に
 花ミモザ地上の船は錆こぼす
 十二使徒のあとに加はれ葱坊主
 今生の螢は声を持たざりし
 月光の届かぬ部屋に寝まるなり
 狼の闇の見えくる書庫の冷え

 一句目が句集命名句である。清水哲男氏は「万の人間の一人として万の鳥の一羽を詠む。等身大の人生から、ユーモアの歩幅とペーソスの歩で抜け出してはまた、岩淵喜代子は地上に還ってくる」と「帯」にコメントを記載されている。
 
感銘句
 北まはり南まはりや草萌ゆる
 原子炉の壊れて桜満開に
 花の下覗けばどこもがらんどう
 
 句集『白雁』を詠み終えて、芭蕉の唱えた「不易流行」が頭を横切った。もちろん「流行」は作者が常に新鮮な発想を持つことである。『白雁』の作者は今の自分を全身で抜け出すという常に進行形の考えを持って作品に集中している。大変刺激を受ける作品集である。又落合水尾「浮野」主宰より一読を薦められた作品集でもある。

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