2016年9月10日 のアーカイブ

天と地を洗ひてよりの梯子乘り  藤木倶子

2016年9月10日 土曜日

地を洗うという表現は詠まれているが、掲句は天も洗ったのである。作者の住んでいるのが青森県八戸であることを知れば、星のよく見えるのが想像できる。その実感を天と地を洗うという措辞によって体感覚で納得するのである。句集中には青森県八戸という風土がびっしり収まっている。

「藤木倶子第十句集『星辰』 2016年  文学の森」より。他に(昼月へ冬たんぽぽの絮吹けり)(雪の中子が湧き出でてえぶり摺る)(外に出でて雀と御慶交しけり)など。

子規の忌の二階へ苦瓜を採りに   池田澄子

2016年9月10日 土曜日

このごろどこの家でも夏の窓辺に苦瓜を植えている。ほっとけばどこまでも伸びてゆく苦瓜を、二階の窓にみつけて、苦瓜料理を思い立たのかもしれない。

今日が子規忌だと思えば青い実から糸瓜を思いおこすし、逆に苦瓜のぶら下がり様から糸瓜が思い浮かび、子規忌へと想像がスライドしていったかもしれない。子規と苦瓜の取り合わせが新鮮である。

「池田澄子第六句集『思つてます』  2016年  ふらんす堂」より。
ほかに  (飛び込めと水澄み登れよと大樹)(アマリリスあしたあたしは雨でも行くい)(八月と言葉に出せば偲ぶごとし)(ビルにビル映り戦没者慰霊の日)(子規の忌の二階へ苦瓜を採りに)

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