2016年7月22日 のアーカイブ

日食の近づいてゐる夏座敷    宇野恭子

2016年7月22日 金曜日

日食とは、太陽が月によって覆われる現象である。現代ではその理由もはっきりしているので不思議がることもないのだが、それでもひと時は天体のただならぬ気配に気おされるような気持ちで、元の太陽の大きさになるのを待っている。

座語に置いた夏座敷は、日食の行われている間の時間の推移を捉えるための器である。(「宇野恭子第一句集『樹の花』 2016年 ふらんす堂」より。他に(冬日向おなじところに鶏もゐて)(炉話のときをり風を見てゐたる)(数珠なりに昏れてゆくなり冬の鹿)

筍にざくりと深き鍬の跡   天野美登里

2016年7月22日 金曜日

筍は春の季語のように思いがちであるが、夏なのである。二月から五月ごろまでと、収穫の時期がながいのが春だと思わせてしまうのかもしれない。

地中に潜っている根のあたりを鍬で掘り出すのである。そのときの根の辺りの鍬の跡に焦点を当てて、掘り出したばかりの筍を鮮烈に描いている。

他に(塩味のかくれてゐたる豆御飯)(ホームから線路におりる冬雀)(日溜りに出てくる冬のきりんかな)など、(天野美登里第一句集『ぽっぺん』2016年 ウエップ)より。

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