2015年10月22日 のアーカイブ

息づかひ伝はるからすうりの花   橋本良子

2015年10月22日 木曜日

からすうりの花を目にしたことのない人は多いのではないだろうか。もともと烏瓜そのものが鑑賞用に植えられることなどないからである。雑草として山中に、あるいは打ち捨てられた野原にはびこって咲く花だ。人の目に触れにくい上に開花するのは闇のなかなのである。

花を見たことのある人は、烏瓜の花が夜でなければ咲けない花であることを納得するだろう。四弁の花びらの先が繊細なレース模様となって四方に広がっているのである。この花を知らなければ、掲出句の(息づかひ伝はる)の措辞は感受出来ないかもしれない。

作者には他に(拠り所うしなひさうな麦の秋)(無花果は微熱の端に置かれあり)など、心象風景を季語に重ねた作品に、冴えが見られる。
橋本良子第二句集『樹心』 2015年 文学の森刊より

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