2012年9月15日 のアーカイブ

現代俳句文庫――70・藤本美和子句集 2012年 ふらんす堂

2012年9月15日 土曜日

棕櫚剥ぎのはかどつてゐる埃かな
陽炎に入つてゐたる子供かな
瞬いてをりしところが芹の水
日の丸の上がつてゐたる冬支度
羽子つきのうしろが空いてゐたりけり
三枚に魚をおろせる野分かな
風呂敷に四角がありて桐一葉

現在『泉』副主宰。1950年生ということはこれから円熟をさらに見せてくれる作家なのであろう。しかし、句集ははじめから寂びを感じる作風で、これが泉風というのかもしれない。

橘いずみ第一句集『橘』 2012年九月 ふらんす堂

2012年9月15日 土曜日

エプロンの膝ついて摘むつくしんぼ
真つ白の毛糸編みゐて母となる
蜜柑むく母のとなりにすわりけり
噴水のてつぺんに雲湧いてをり
椎の実やこつんと孤独深めけり
教室のうしろに繭の深ねむり
せーたーより白き菟を抱きにけり

1963年生 「泉」同人。静寂な視線で身辺を掬い取った作品集。そのなかに子育て、学校と言う職場、父母のことなどが淡々と詠まれているのが好感を抱かせる。

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