2011年11月12日 のアーカイブ

『天塚』11月号 主宰木田千女   

2011年11月12日 土曜日

現代俳句鑑賞  竹村良三

  紫陽花に嗚呼と赤子の立ち上がる    岩淵喜代子
  大花野越えきて襁褓まだとれぬ

 たまたま「俳句」九月号に赤ん坊を詠った句が並んでいたので一括して取り上げた。いずれの句も、子の成長見守る母の句であるが、底に人間愛が流れている。第一句(短夜の赤子よもつともつと泣け)は赤子の将来を祝福いるのだ。第二句、子はその期待に応えるかのように(海を見たまま)すでに遠い将来を見据えているのである。第三句、第四句、ここでは自然の美、いや人間愛がわかるまでに成長した赤子が詠まれている。(紫陽花)(大花野)の季語が生き生きと赤子の様子を伝える。(襁褓まだとれぬ)は(這えば立て立てば歩めの親心)なのだ。

『天為』 11月号 主宰有馬朗人

2011年11月12日 土曜日

現代俳句鑑賞        筆者五十嵐義知

 涼風の通ふところに集合す    岩淵喜代子

水面を吹きぬけてくるのか、打水のあとを吹く風か、涼風の通るところがある。あるいは冷房の自動ドアーの付近かもしれない。暑さのために自然にその場所が待ち合わせ場所、集合場所となってしまったのである。建物の影にかくれるように信号待ちをしている光景も、涼風の通る場所とは異なるかもしれないが、日差しを避けるために自然にそのようになるのである。

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