『天塚』11月号 主宰木田千女   

現代俳句鑑賞  竹村良三

  紫陽花に嗚呼と赤子の立ち上がる    岩淵喜代子
  大花野越えきて襁褓まだとれぬ

 たまたま「俳句」九月号に赤ん坊を詠った句が並んでいたので一括して取り上げた。いずれの句も、子の成長見守る母の句であるが、底に人間愛が流れている。第一句(短夜の赤子よもつともつと泣け)は赤子の将来を祝福いるのだ。第二句、子はその期待に応えるかのように(海を見たまま)すでに遠い将来を見据えているのである。第三句、第四句、ここでは自然の美、いや人間愛がわかるまでに成長した赤子が詠まれている。(紫陽花)(大花野)の季語が生き生きと赤子の様子を伝える。(襁褓まだとれぬ)は(這えば立て立てば歩めの親心)なのだ。

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