2010年9月7日 のアーカイブ

くぼえみ句集『猫じゃらし』蒼風社出版 2010年8月刊

2010年9月7日 火曜日

1947年生れの「船団」所属・年齢を知らなければ、もっと若い作家かと思うほど自由な発想がある。これは、所属の「船団」の気風というか共通した特徴である。

  ふるさとは田の字の間取り青田風
  足踏みの蛇の目のミシンと金木犀
  七人で金庫を運ぶ春一番
  転がった五人が起きる春の土
  通という叔母がいて白寿猫柳
  九十の坂越えるなら紋白蝶
  青梅やビルに定礎の年月日
  初夏の水買っているインド人
  藻の花や知人の知人又知人
  日本をくすぐっている猫じゃらし

和田順子句集・ 『黄雀風』 角川書店 2010年8月刊

2010年9月7日 火曜日

結社「絵硝子」主宰の五年間の作品集。確実な歩みと思える一集である。

  だんだんに声の揃ひて十日夜
  花冷えの万年筆となりにけり
  木に掛けておくもの空の虫籠は
  理由もなくかたまり歩く子等に夏
  地下濠の涼しさだんだん恐ろしき
  考えてをれば無花果熟れてきし
  マフラーの先余るとも足らぬとも

人は柔軟と言う言葉を使うかもしれない。しかしそれとも少し違うやわらかな感性が、ゆるやかな時間空間を作っている。

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