和田順子句集・ 『黄雀風』 角川書店 2010年8月刊

結社「絵硝子」主宰の五年間の作品集。確実な歩みと思える一集である。

  だんだんに声の揃ひて十日夜
  花冷えの万年筆となりにけり
  木に掛けておくもの空の虫籠は
  理由もなくかたまり歩く子等に夏
  地下濠の涼しさだんだん恐ろしき
  考えてをれば無花果熟れてきし
  マフラーの先余るとも足らぬとも

人は柔軟と言う言葉を使うかもしれない。しかしそれとも少し違うやわらかな感性が、ゆるやかな時間空間を作っている。

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