広げたる指すみずみに秋の風    守屋明俊

映像として現れるのは空間に浮かんだてのひらだけ。しかも、一つの掌は五指をしっか開き切った生き生きとした手である。それが(広げたる指のすみずみ)なのである。なんと単純な景。しかし、その単純明快さが秋風を気持ちよく感じさせてくれる。ほかに(竹の秋大きな鳥は村を出て  西日家族)(あぢさゐの遠くに見えし安堵かな   西日家族)(鳥籠に鳥の影なき障子かな  蓬生)(歳晩の抱かれて子に見ゆるもの   日暮れ鳥)(滝が鳴る滝の切手を貼るたびに   日暮れ鳥以後)『守屋明俊句集』2014年 教育評論社 (筆者・岩淵喜代子)

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