『田中水桜全句集』  2013年11月  (株)ウエップ

大正10年生まれ。『水櫻』『夜叉ヶ池』『天彦』『麻布』『大足神』『天真』『九十九里』『かむろ山』が収録されている。それに加えて、『自註田中水桜集』『自解100句選集』の二冊収録された重厚な全句集である。この11月に主宰していた「さいかち」の千号祝賀会も行われて、俳句人生の充実ぶりを示した一書だと言える。

秋風のうまさよ雲にちかよれば    「水桜」
銀漢や干潟ありけば潮満ち来     「夜叉ヶ池」
天彦や沖へ順風吹き流し       「天彦」
どつぷりと麻布育ちの沖膾      「麻布」
竹の秀の虚空掠めし冬の音      「大足神」 
天真の声もて示す桜貝         「天真」
九十九里さいはて模糊と卯波寄す   「九十九里」
さしかはす花の天蓋果て知らず    「かむろ山」

自然の気息というか自然の空気が伝わってくる作品。市井に生きながらも、いつも天空へ視点を投げて、そこから空気を呼び込んでいたような壮大な風景が多かった。まさにますらおの詠んだ俳句である。

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