「嶺」2016年8月 主宰・布川直幸
俳句月評ー俳句総合誌よりー 筆者・上原重一
(『俳壇』六月号「鳥の恋」から)・ 綾取りは、輪にした糸を手首や指にかけて琴、鼓、川などの形を作って遊ぶ女児の遊戯。私も幼い頃、男女の区別なく遊んだ。幼児を回想しての句であろう。遊びの綾取りからふと目の前の鳥の恋が目に入ったのではなかろうか。
「嶺」2016年8月 主宰・布川直幸
俳句月評ー俳句総合誌よりー 筆者・上原重一
(『俳壇』六月号「鳥の恋」から)・ 綾取りは、輪にした糸を手首や指にかけて琴、鼓、川などの形を作って遊ぶ女児の遊戯。私も幼い頃、男女の区別なく遊んだ。幼児を回想しての句であろう。遊びの綾取りからふと目の前の鳥の恋が目に入ったのではなかろうか。
俳誌春秋 筆者・竹川みさ子
『ににん』二〇一六年春号 通巻六十二号代表 岩淵喜代子(埼玉県朝霞市より発行)創刊平成十二年秋、岩淵喜代子が朝霞市にて「同人誌の気概」ということを追求していきたい。と標榜。(季刊) 16年俳句年鑑
『ににん』62号はお二人の句集出版祝賀会のグラビアから始まる。浜田はるみ氏の「韻く」と山内美代子氏の「藤が丘から」で、「祝賀会風景」の記録は服部さやか氏。祝賀会参加者の「句集の一句選」より
日向ぼこ神がとなりに来て座る 浜田はるみ
水の揺れ日の揺れ風の金魚売り 山内美代子
当日出席の叶わなかった山内氏の「藤が丘から」には浜岡紀子氏と武井伸子氏の書評。「序にかえて」は岩淵喜代子代表がそれぞれの視点から、著者の明るく才能豊かで、しかもエネルギツシュなお人柄を、すっきりと飾らずに称えておられる。
墨彩画と書、俳句とエッセイが納められたという贅沢な句画集、著者は昭和四年生れという。多才にして多彩なる表現者に感服である。
俳句作品「ににん集」より 兼題「受信」
松過ぎの岬へ運ぶ受信音 岩淵喜代子
受信して朱の冴返る火山弾 川村 研治
探梅や受信感度のよき日向 佐々木靖子
覚め際に受信せる夢冬の薔薇 末永 朱胤
枇杷の花星の言葉を受信せり 鈴木まさゑ
「さぎん集」より
冬の波は海の呼吸と思ひけり 木津 直人
新春の野良着持ち出す日和かな 西方 来人
淡雪の余白に雀こぼれ来て 高橋寛治
硝子戸の向かう木の芽の騒がしく 武井伸子
深々と青空ありぬ出初式 岩淵喜代子
高橋寛治氏「定型詩の不思議」、岩淵代表「石鼎余滴」は克明に調べあげて中身の濃い連載評論である。
「雁の玉章」は六氏のエツセイ集。その中で代表は「『ににん』は誰もが気兼ねなく評論俳句を発表し続け、格闘する場としたい」と「同人誌の気概」が充分感じ取れる俳誌である。
今夜は七夕まつり、そしてその日に行われる俳句四季出版の授賞式。句集の授賞式から始まって、三人の選者の一人の富士真奈美賞を受けた句。夢のあるいい句である。
そのお祝いを兼ねて、みんなで参加して思う存分、飲んだり食べたりしてきた。今回の特別賞にはなっていないのだが、最終候補の20句のなかには、もおうひとりににんの顔ぶれが残った。
猟銃音響く山河を故郷とす 鈴木まさゑ
予選をした角谷さんが、挨拶の中で最後の20句に残る比率をお話していたが、その数字は覚えていない。しかし、とにかくおめでたい事。おめでたいときには、思いっ切り喜んで、楽しめばいいと思う。
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