2016年4月7日 のアーカイブ

『鷹』・主宰小川軽舟  2016年4月号

2016年4月7日 木曜日

俳壇の諸作  筆者・大西 朋

三角は涼しき鶴の折りはじめ 岩淵喜代子

「ににん」冬号より。この句の後に詩の抜粋がある。

青/の三角/の髭/の/ガラス
白/の三角/の馬/の/パラソル
黒/の三角/の烟/ の/ビルディング
黄/の三角/の星/の/ ハンカチィフ

北園克衛詩集『煙の直線』「単調な空間」の一部から。俳句を作る時、季語は勿論のこと、題などからも発想を得ているのだが、詩から季題を感じとるという試みは私には新鮮であった。
三角という言葉やガラス、パラソル、ビルディング、色の様々。 これを作者は涼しいうう季語に乗せて形作ったのだ。なるほど三角は鶴の折始めである。四角から三角、そして複雑な折鶴へ。鶴を折る作者の指先と美しい紙の色も涼しく見えてくる。

発掘の石に番号鳥の恋    菅 美緒

2016年4月7日 木曜日

菅美緒第三句集『左京』2016年 ふらんす堂

即物的な描写で発掘の石に番号の振られてゆく光景が展開されている。
日常のようでいて日常とは少し違う空間。発掘の石同様に、そこにある鳥の恋も太古から続いているのである。(菅 美緒第三句集『左京』2016年 ふらんす堂)他に、(炎昼の牛舎に牛の目があまた)(引き抜きし根ぞたのもしき薺摘み)(日脚伸ぶ甍に糸屑ほどの魚)など。

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