水に浮く椿のまはりはじめたる
十人の僧立ち上がる牡丹かな
大寺の日向水とて顔うつす
わが身より狐火の立ちのぼるとは
海鳴にたたみて厚き蒲団かな
2015年12月8日 のアーカイブ
藺草慶子『櫻翳』 2015年 ふらんす堂
2015年12月8日 火曜日行方克己第七句集『素数』 2015年 角川書店
2015年12月8日 火曜日かなかなのかなかなかなと揺り返す
しろながす鯨のやうに雪残る
愚かなることを愚かに大念仏
素数わが頭上になだれ冬銀河
冬ひばり極みに梯子外されて
星野光二第三句集『弓勢』 2015年 文学の森
2015年12月8日 火曜日方蔭や海抜ゼロの理髪店
人の名を思い出せずに赤のまま
初午や寅より機嫌よき狐
目覚むれば馬柵を越えゆく霧の音
鎌田俊句集『山羊の角』 2015年 恵曇舎
2015年12月8日 火曜日冬薔薇のぞけば港ありにけり
流木の匂ひ手にあり寒昴
ばらの雨白い鯨が来るだろう
日だまりをひとつにつなぎ冬の園
抱けば子の熱きはらわた十三夜
長浜勤句集『車座』 2015年 本阿弥書店
2015年12月8日 火曜日車座の老人月へゆくやうな
狼の夢見し布団干しにけり
紫陽花を剪つて誰かを許しをり
蓮見舟口をひらいて見送りぬ
膝ついて己消したる泉かな