2014年7月12日 のアーカイブ

八木忠栄詩集『雪、おんおん』  2014年6月  思潮社

2014年7月12日 土曜日

俳句も作る詩人と言っても、昨今は珍しいいことではない。八木忠栄氏は中では殊に俳句にも熱心な作家である。個人誌「いちばん寒い場所」はすでに70号に達している。

これまでは気がつかなかったのかもしれないが、八木忠栄氏の詩は語り部的な文体である。思想は自ずと文体を選ぶのかもしれない。表題の「雪、おんおん」と同じタイトルの詩がある。詩集のなかでも殊に9頁もある長い詩である。

ゆらゆら 木の橋をわたってくる女たち
思い思いのコートをまとった十数人
かげろうのようにあるいてくる
彼女たちには目がない 口がない

読んでいて、やはりこの一篇は語り部的文体であり内容である。数日前に遠野で耳にした語り部の声を思い出す。

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