山の蟻てのひらに載せ葉にもどす
川沿ひを来て加はりぬ盆踊
手をつきて地のあたたかし桃の花
一群のまた一群の小鳥来る
雪踏めば荒星の座のうつる音
伊藤桂吉氏の序には「沈静の詩魂と叙情」についてが語られ、榎本好宏氏の跋では、「挨拶」と「存問」が語られている。
五句抜き出した中でも三句目の「手をつきて地のあたたかし桃の花」が伊藤氏の温恭な句作りの中枢をなすものではないかと思う。
山の蟻てのひらに載せ葉にもどす
川沿ひを来て加はりぬ盆踊
手をつきて地のあたたかし桃の花
一群のまた一群の小鳥来る
雪踏めば荒星の座のうつる音
伊藤桂吉氏の序には「沈静の詩魂と叙情」についてが語られ、榎本好宏氏の跋では、「挨拶」と「存問」が語られている。
五句抜き出した中でも三句目の「手をつきて地のあたたかし桃の花」が伊藤氏の温恭な句作りの中枢をなすものではないかと思う。
大粒も大粒屋久の大夕立
国道を横切る屋久の大蟹よ
千尋の一枚巌の瀑布かな
野仏に湯気立つ霜の朝かな
さざ波のごと粉雪の地を這へり
風土へのあこがれが、風土を詠ませる、という姿勢が見えてくる。それは句集には大を使った句が随所にあるからだ。風土への感嘆が「大粒」になり「大蟹」になるのだろう。
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