数か月前には同じ著者から『鯨のこゑ』という一書を頂いている。その中にーー『鯨のこゑ』は私の声くらいな謂れ――だと書き記されていた。とすると、この『鯨の耳』は「わたしの耳」ということになる。すなわち「滝」会員の作品論であり、俳句論である。章立てには、季語・物名・地名・時間空間・歴史 民俗・芸術 芸能・表現 技法と直截的に目次になっている。それらが、菅原氏の住む風土にまぶされて語られているのが、創意であり、個性であると同時に、確かな言葉となって届けられている。
2012年4月 のアーカイブ
菅原鬨也著『鯨の耳』 「滝」の俳句を中心に 2012年 滝発行所
2012年4月6日 金曜日花に嵐
2012年4月4日 水曜日ににん46号 新企画
2012年4月3日 火曜日予定通り「ににん」46号春号が発送出来た。昨日か今日あたりには大方の人の手に渡る筈である。てんやわんやのうちに、必ず一つぐらいの失敗やらミスやら重ねながら、それでも46回目の雑誌を完成させた。とにかく、発行しなければ先へ進めない。
この号からエッセイの栞を入れた。というのは「ににん」は評論も俳句も一定の枠を作りながらも、誰でも無制限に受け付けている。しかし、エッセイの類は最後の頁の「俳句の背景」と火と灯の歳時記のための「ミニエッセイ」のほかは設けていない。随筆の場も設ければ、という声も上がるかもしれないが、このエッセイも自由にしてしまうと、あまりに範囲がひろくなって、俳句雑誌の方向が緩んでしまう。
それで、栞形式を取ることにした。今回は本当の栞そのもののように3人しか書かなかったが、人数が増えれば冊子に発展する可能性も出てくる。なによりも、書き手が書く場を得ることで、自分を蓄積させていけばいいと思っている。実際のところ、私もエッセイを書くことに魅かれるのだが、今は石鼎に決着を付けたいと思っているので、「雁の玉章」制作に専念したい。
急に思いついた企画、栞「雁の玉章」一号ではあるが、栗原良子さんと木津直人さんの二人が名乗りをあげてくれた。どちらも、才人の愉しい文章である。私は今回は頁の都合上、奇数人にしなければならないので、やむなく以前発表したものを転載した。企画は十五周年まで続けたい。
絵になる人がいるものだが、花でも殊に絵になるものがある。それがポピーである。なんの造作もかけないのに、いかにも絵になるように配置された。