聖戦(ジハード)に赴かざるは日向ぼこ
手毬唄路地のでこぼこもて弾み
にんげんに舌あり歯あり朧なり
飛べるなり蝶々といふ二つ折り
お遍路に出でむと思ふ昼寝覚
緑陰のここに座れば風の道
短夜のひとりは男ひとりは女
生涯の午後の日もだいぶ傾いてきたようだ。あるいはすでに夜に入っているかもしれない。という後書きを書いてご人生を意識している。そうした意識は俳句の軸足をを地面に置く意識でもある。それが作品に現われている。
聖戦(ジハード)に赴かざるは日向ぼこ
手毬唄路地のでこぼこもて弾み
にんげんに舌あり歯あり朧なり
飛べるなり蝶々といふ二つ折り
お遍路に出でむと思ふ昼寝覚
緑陰のここに座れば風の道
短夜のひとりは男ひとりは女
生涯の午後の日もだいぶ傾いてきたようだ。あるいはすでに夜に入っているかもしれない。という後書きを書いてご人生を意識している。そうした意識は俳句の軸足をを地面に置く意識でもある。それが作品に現われている。
初蝶を追ひかけらるるところまで
まだそこにゐる猫の仔の気にかかる
足並の揃つてをりし浴衣かな
焼薯の屋台と歩調合うてをり
靴音のうしろの枯れて行きにけり
向うにもこちらにも声青簾
ここには特別な風景があるわけではない。表現が特別なのである。日常の風景を作者の視座というものを確実に築いた描写なのである。
『鎌倉佐弓の世界』
第四句集『薔薇かんむり』
万華鏡いちばん奥に王の部屋
はるかなる石の王妃へ薔薇かんむり
ポストまで歩けば二分走れば春
パセリひと呑み鍵かけて来たかしら
ゆらゆらと樹のてっぺんはいつも空席
飛躍した俳句というと日常からはみ出し過ぎてしまう作品集になることが多い。しかし、この作者の作品は非常に飛躍してあわや空中分解するのではないかと思うほど飛躍しながらしっかり着地する。どちらも外国の詩人が鑑賞している。
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