村上喜代子第四句集『間紙』  2013年  角川書店刊

間紙のうすむらさきも雛の頃
杜若水を余白としていたり
玉梓の露けきことを書き出しに
道路鏡に吸いこまれゆく大花野
初時雨暮らしのなかに寺の鐘
青鷹空に従ふ沼の色

句集名「間紙」とは汚れや破損を防ぐために間に挟みこむ紙のことを言うのだそうである。
その主宰誌「いには」は印波という万葉時代から地名。その地に住んで、その地に意識を寄せる諷詠に徹しているように思える。そうした風土を持てることも俳句の力である。

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