冬の宿風見るほかに用もなし    岩淵喜代子

『雲取』主宰・鈴木太郎 5月号
現代俳句管見   筆者・下條杜志子

(「ににん」二〇一六年記念号)山間の一軒宿などを思う。まさに非日常の空間と時間が広がる。多分それを求めての旅だが、特別の用事もないままの、その放念の時が何かを生むに違いない。

風を見るという措辞は雪降る枯れ山や瀬頭の荒さを読者に差し出す。低音で詠まれていながら、その中身の濃さがひたひたと迫ってくるような句と思う。

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