購読者

昔、魚座という雑誌を今井杏太郎さんが創刊した。今井さんのあの力まない作風が好きだった。そんなことで、購読していたことがある。二、三年経ったころ、編集部からの印刷した書面で、「魚座」は講読制度を中止することにしました、というご案内を戴いた。

そのとき、もしかしたら今井さんの心遣いなのではなかったかと思った。購読し始めてはみたものの辞めるということを言いだせずにだらだらと購読を続けているのは気の毒と・・・。今井杏太郎さんはそんな思いやりを持つお人柄、いや潔さのある方だった。

「ににん」を立ち上げた時から5年ほどは、購読者の数が、同人の3倍以上いた。そのおかげで、毎年の同人誌の赤字補填が出来ていた。着席正餐の5周年祝賀会も、ににんの内部での寄付集めなどしなかった。

今井杏太郎さんのことがにわかに思い出された。それは初期の購読者の方々は、それまで在籍していた結社の先輩やら句会仲間だった方々で、「ににん」創刊の応援という意味が強かった。それで、そんなにいつまで甘えていていいのかな、と思い始めたのだ。

そんな折、中でもことに高齢のIさんが購読中止を申し出てきた。何も書いてはいないが、身辺を整理しているのではないかと想像した。そのIさんの周辺で購読していてくださる方々も、私よりも高齢の方々で、私のほうで区切りをつけた方がいいように思った。それで、購読を続けたい方々には贈呈しますので申し出てくづださいという案内を配布した。

それからまた7年ほど経った15周年を機に、古巣の方々にはすべて、以前と同じような案内を出した。石鼎についても書き切ったこの時期でなければ、言いそびれてしまいそうだとも思ったからである。いろいろな方に支えられて、「ににん」が続いてきているのである。

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