啓蟄の空ずぶぬれになりにけり   川村五子

啓蟄と言う季語は意味としては理解するのだが、映像的に思い浮かべようとするると漠々とした気分のみが浮かび上がる。広辞苑の解説の最後に驚蟄という言葉があった。このほうが具体的にイメージできそうな気がする。

(空ずぶぬれ)ということばに託した啓蟄の日の空気がここには言い留められている。雨は空から降ってくるものなのだが、なぜか雨が空まで濡らしたという措辞に置き換わって伝わってくる。

「句集『逞しき空』2015年 角川書店」には(敗荷や空の一片はがれ落つ)(盃の月の光を飲みほせり)(蝌蚪の紐ぐらりと関東平野かな)(十月桜行きどころなく佇ちつくす)(鳥の恋空逞しくなりにけり)など、空の句が多い。

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