全体に、シニカルな心情が具象化を促し、情緒的な季語に溺れないで対象を捉えている。たとえば、掲出の(虫の音)がそうである。鳴き尽している虫の音を(枕にすみつく)とすることで表し、その枕を(裏返す)によってふたたび虫の音を際立たせている。他に(はひはひができたるころの敗戦日)(靴下をねぢ込むポケット春渚)(帰省子に持たすタオルの洗ひたて)など。
藤野律子第二句集『風の章』 2015年 ふらんす堂
岩淵喜代子記
全体に、シニカルな心情が具象化を促し、情緒的な季語に溺れないで対象を捉えている。たとえば、掲出の(虫の音)がそうである。鳴き尽している虫の音を(枕にすみつく)とすることで表し、その枕を(裏返す)によってふたたび虫の音を際立たせている。他に(はひはひができたるころの敗戦日)(靴下をねぢ込むポケット春渚)(帰省子に持たすタオルの洗ひたて)など。
藤野律子第二句集『風の章』 2015年 ふらんす堂
岩淵喜代子記
HTML convert time: 0.187 sec. Powered by WordPress ME