武田肇第四句集『ダス・ゲハイムニス』 2011年1月刊  銅林社

詩集が十七編、句集が1993年以降四編という精力的な作品制作過程がある中の第四句集目。

この句集には三つのキイポイントがあるように思われる。それは月と60年と江戸である。この三つのキーが頁を繰るごとに立ちあがって、おのずとイメージを立ち上がる、月光という媒介によって江戸と現代が結ばれている。プロフールが無いので、想像なのだが、60年は作者の生きて来た年月なのかと想像している。

  月を見て六十年の明るさよ
  六十年そこに蟲籠置く手ある
  六十年前のいへから蠅逃す
  六十年前の西日すこし動く

  裏木戸に人一人出す天の川
  名月や知恵の輪はづれ裏戸あく
  去にしあと月宮殿となる廓
  名月のかさなりあうてゐるやうな

  江戸は春お化け煙突美女四人
  秋冷や釘は打たれてをりにけり
  われのほかゆきどころなし桃の種
  花の晝江戸もヴェニスも舟は反り

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