武田肇句集『同異論』  2014年  銅林社

タイトル同異論については「解題」としてことばが尽くされている。要約すれば、視覚から詠む俳句は同時に複数句が成り立つ、という。ということで、句集の一ページの二句は、臍を一つにしている。二句一章ではなく二句一身の作品群が一集を成している。これはいかにも詩人らしい論である。

鐡をうち春を槌つなり山の人
鐡のごと春は槌たれて耗りゆけり

花人も花も遅れて咲きに来る
花と人遅れて逢ふや枝の尖

ニヒリズム咲かぬ櫻と来ぬ人と
ニヒリズム春の眞裏に花と人

二句一身とは、実際の作品を示してしまったほうがわかり易い。
連作とも違うのである。これも試みの句集である。

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