現代俳句文庫72『大関靖博句集』  2014年  ふらんす堂

『点描画』『風速』『轍』『五十年』から収録した作品抄。

空占めて落葉松の芽の点描画   点描画
焚けば火の透明となる油照

ごきぶりの闇に高級乗用車    風速
桐の実よ鯵の干物を焼く母よ

薄闇の中に濃き闇箒草      轍
つちけむり消えて轍や麦の秋

白魚に葉脈ほどの骨ありき   五十年
大寒や鉄のごとくに水動く

初期の感覚はやがて取り合わせに冴えを発揮してゆく。ことにごきぶりと乗用車の知的な取り合わせと桐の実と鯵の干物の感覚的な取り合わせに集約されている。

コメントをどうぞ

トップページ

ににんブログメニュー

HTML convert time: 0.229 sec. Powered by WordPress ME