正木ゆう子・高柳克弘・藤本美和子氏の栞。
正木ゆう子氏の文章には2008年の「角川」俳句賞の次点だったことが記されており、しかも、その時の審査委員の中で唯一受賞を主張して激論になった書いてある。激論ということになると、他の審査委員はかなり強硬な反対意見になったということになる。
舌出せば眉上がりたる氷菓かな
暖房の室外機の上灰皿置く
若芝に引く白線の起伏かな
ひるがほや錆の文字浮く錆の中
月見草抜き取れば家遠くなる
真上よりみる噴水のさみしかり
犬じやれて誰彼なしの彼岸かな
自問ばかりやマスクの下のつぶやきは
いちまいの白布として寒波来ぬ
ころもがへ辞書の頁の吹かれをる
俳味という本来の分野をいち早く取得した作家と思う。