今年が和知喜八氏の生誕百年にあたるということで、結社「饗宴」で刊行したもの。現主宰の山崎聡氏の監修。
おそく帰るや歯磨きコップに子の土筆 『習作期』
花嫁の父たもとおる樹の青葉 『同齢』
わびすけへ鶲息子の給料日 『羽毛』
七十歳の夏あかがねの沙羅双樹 『川蝉』
夏休み子供の金魚へ金魚足す 『父の花火』
たましいを入れあちこちにほたるぶくろ 『五階の満月』
加藤楸邨の「寒雷」で育った作家らしい生活から発した人生諷詠。